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今日は久しぶりにいいお天気になりましたね!

今日は、切り干し大根のアラビアータと里芋と長ネギのポタージュにチャレンジしてみます!

なぜ認知症の人は家に帰りたがるのか?恩蔵 絢子&永島 徹

なぜ認知症の人は家に帰りたがるのか?恩蔵 絢子&永島 徹

2026年9月17日(木)なぜ認知症の人は家に帰りたがるのか?
恩蔵 絢子&永島 徹

認知症対応型のデイサービスに通うことになった。すいさん。婦人会OBの集まりと言う感覚で、通所がスタートしました。

初日はかなり緊張した様子で、事前に見学に来たことも忘れてしまっているようでした。

その後も落ち着かない様子で、何度もトイレに行き始め、ついには私はこれで失礼しますと言って、入り口のほうに向かって動き出してしまいました。

取り付く島もなく、歩いて帰ろうとする。スイさんに、男性スタッフが寄り添います。話をしながら30分ほど歩き、迎えに行った施設の車です。スタッフと一緒に戻ってきました。お茶を飲んで、一息つくとあうちの息子は?と言いながら、男性スタッフのことを探し始めました。まだ会ってもないスタッフが、水産の息子になっていました。

脳科学からの解説

無意識に、体験は確実に積み重なって、脳の中に残る。

アルツハイマー型認知で、海馬の萎縮が起こると、新しい出来事が、覚えにくくなってしまいます。例えば、今日見た映画を明日も見て、

初めて見る映画だとおっしゃる。今日これを見たというか、新しい体験を意識的に覚えておくことが苦手になります。

水産が見学で、糸一度訪れていた介護施設を覚えていないのは、まさに海馬の萎縮が原因です。まだ通い始めたばかりで、覚えられておらず、この場所に親しみが湧かない状況では、そわそわしても仕方がないのかもしれません。

実は、事例06で登場した、海馬手術でとってしまったHMさんは、図24のように、2重の星の線の間に、もう1本1本線を引いて、三重の星にしてくれと言われると、こんなの難しいよ、できないよと言いながら挑戦しました。

確かに線はうまくいきませんでした。また次の日に同じことを頼むと、昨日挑戦したことを覚えていなくて、やはりこんなの初めてだよ。難しいよ。できないよと言いながら挑戦しました。次の日も、その次の日も頼むと、毎回こんなことはやったことがないよと言うのですが、驚くべきことに線は日に日にうまく弾けるようになっていました。HMさんは、覚えていないと言っても、体では着実に線の弾き方を学習していたのです。

図24:覚えていないと言っても、体は学習している。

海馬とその周辺組織と手術で手取り去ったHMさんが取り組んだ課題。2重線で書かれた星の間に、1本線を引いて、3重の星を書く。

しかも、手元には、ついたてがが立ってたっていて、鏡越しにしか手元を見ることができない。このような難しい課題に、カバを取り添った人が取り組み、とても重要だからが明らかになった。挑戦するたびに、言葉ではこんなの初めてだと言うのだが、線だけは毎回確実にうまく弾けるようになっていったのである。

アルツハイマー型認知症の人も同じです。意識的に新しいことを覚える事は難しくなっても、無意識的には体験は確実に積み重なって、脳の中に残るのです。だから、こんな場所初めてだと言って落ち着かない様子で帰ろうとすることがあっても、通うごとに、その場所に体のほうは慣れていくはずです。

気持ちに寄り添うことで、愛着が生まれる

しかし、どうしても初回の利用時や、まだ慣れていない時は、その場所が落ち着かず、離れたくなってしまったり、家に帰りたくなってしまいます。

そのようなときには、強制的にそこにさせようとするのではなく、出たいと言う気持ちに寄り添って、一緒に外に出て、歩きながら話すと良いです。良いでしょう。

家に送り届けることはできなくても、帰りたい気持ちになられているときに、少しでも一緒に外に出てみると、ご本人は自分の気持ちを伝わった気がして安心するんではないでしょうか。

だからこそ、スイさんは、自分に付き添ってくれた職員と打ち解けて、その人に愛着を持つ、その人が息子に見えてきたんだと思います。

息子や娘と間違えると言う事は、それくらいその人が、自分にとって親しみを感じさせてくれた人だと言う事を表しているのです。

アシストポイント。

デイサービスに行って、帰りたがってしまったら・・・・

ご本人の不安な思いに寄り添い、安心体験を積み重ねていきましょう。

ご本人の思い:

ちょっとした間が、魔に感じられます

すみません。用事があるので帰らせてもらいますなどデイサービスの利用中に帰りたいとなってしまうことがあります。

こんな時は帰ると言う言葉が

不安が差し込んでいるサインだと言うことに気づくことです。

それまで、楽しく過ごせていても、ちょっとした間に不安と言う魔が、差し込み混乱してしまうことがあります。ご本人の表情や手持ち無沙汰な様子などから、不安が差し込みそうだと言うことに気づけたら、明るく話しかけるなど、安心していただけるように関わりましょう。

デイサービス等が、ご本人にとって、馴染みの場所による間は、間が魔にならないように、ご本人の不安な思いに寄り添い、安心体験を積み重ねていくことが大切です。

事例26

なぜ、

生活動作が、

スムーズに、

できなくなるのか。

滋さんは、タクシーの運転手を長年勤めた真面目で物静かな性格の方です。

認知症の診断を受けてから9年が経ちますが、デイサービスでは調子の良いときには18番の歌を口ずさんだりして機嫌よく過ごすことができています。

しかし、半覚醒のような状況も見られ、歩行はできるものの移動にも時間がかかり、動き途中で止まってしまうこともしばしばです。

特に腰をおろすと言う動作では、スタッフの介助に恐る恐るといった様子で、身体の動きが固まってしまいます。

排便のためにトイレに行ったときには、腰を下ろしましょうなどの声かけが何度も続くと(できれば)やるよ!と声を荒らげてしまうこともあるのでした。

脳科学からの解説。

声かけではなく、一緒に行動してみる。

健康な人には至ってシンプルに見える動き、例えば歯磨きをすることも、トイレに行くことも、実は複雑な運動の組み合わせでできています。

歯磨きなら、ブラッシを手に取って、水をつけて、ペーストをつけて、口に運ばなければなりません。

トイレなら、ドアを開けて、歩き、便座の前で、ズボンや下着を下ろして、座らなければなりません。どういう順番で何をやれば良いのかと言う運動計画が立てられなければ、最後まで完了させる事は難しくなってしまうのです。

また、言葉の意味の記憶も思い出しにくくなっている場合があって、他人から腰を下ろしてくださいと声をかけられても、腰が何を意味するのか、ぴんとこなくなることもあるのです。つまり、言葉での指示は伝わりにくく、声掛けをすればするほど、プレッシャーがかかってしまうことがあります。

周りの人は、排便が間に合わなかったら、どうしようと思うと、声かけに力が入ってしまうこともあるでしょう。しかし、それだと、不安な雰囲気になって、寄る言葉がぴんとこなくなってしまいます。腰をおろしましょうという言葉が、ぴんときてないのに、その言葉を繰り返していては、プレッシャーがかかるだけで、おびえさせてしまうのです。ですから、言葉ではなく、スタッフが家族は一緒にやって行動で示したり、腰を触って、ここだよと腰の意味を感覚で示したり、手をとって、便器の座る場所を触ってもらって、歩行を目指すんだよと座る目的はわかるようにするなど、言葉を返さない形で伝える工夫をすることが、本当にその人が取りたい行動をするための早道です。

体の動きは、自然の流れでーーーアフォーダンスを利用する。

ほんの少し助けになることがあるとすれば、アフォーダンスを利用することです。

アフォーダンスとは、言葉を通してではなく、環境の方から体に働きかけるようにすることです。

環境を整えることによって、体の動きが既に取れるように仕向けると言う意味で、最初から最後まで、途中で動きを遮るものがない様にする、目的のものがはっきり見えるようにする、ご本人にとって気を散らすものを減らす、またご本人が様々、立ち上がったタイミングで、トイレに促すと言うように、言葉を返さず、体の自然な流れができるようにするのです。

アルツハイマー型認知症で、最後まで残りやすい脳部位は、大脳皮質では、第一次感覚野と第一次運動野、そして、大脳皮質より進化的に、さらに深く脳の深い部分にある大脳規定核や、小脳と呼ばれる組織などです。簡単に言えば生存に残る組織ほど、残りやすいのです。本当に歩けなくなったり、ものが飲み込めなくなったりすることがあるとしたら、10年20年と言う長い期間が経った後で、それまでは本当に動けないのではなく、うまく運動が計画できなくなって動けないだけなので、いかに自然に動きを作り出せるか、その工夫なのだと思います。

図25:最後まで、残りやすい脳部位

診断後、何十年と言う時間が経って、アルツハイマー型認知症が進行した状態。(図右)において、大脳皮質の中で、原因物質の1つと言われるアミロイドBの蓄積が薄いのは、

脳の後ろ側に位置する第一次視覚野と、脳の上側に位置する第一次運動野だった。

第一次視覚野とは、目から入ってきた情報が最初に届く脳部位である。

第一次運動野とは、脳から体への運動、命令の出る最後の出力部位である。目、耳、皮膚など体の刺激の脳への最初の入り口を第一次視覚野と呼び、脳がやっていることは、

今、自分が、目にしているものが何なのかを記憶と照合して判別し、どう行動するかを計画して、最終的に必要な体の部位に命令を送ると言うことだが、体に対する脳の入り口と出口は、

最も基本的な脳部位なので、最後まで残りやすいのである。

アシストポイント

生活動作がスムーズにいかなくなったら・・・・

ご本人のペースで動作がしやすいように環境調整しましょう。

ご本人の思い:

できたら、やりたいよ!(怒)

生活動作が、スムーズにいかなくなってくると、様々な介助が必要になり、ご本人はそのたびに言葉の指示を受けることになります。何度も指示の声をかけられれば、かけられるほど、プレッシャーで身体が動かなくなり、ついには大きな声を出してしまうことも。

アシストポイントは、言葉でのプレッシャーを減らして、ご本人のペースで動作がしやすいようにすることです。そのためには、待つ事、一緒にやってみることに加えて、ご本人のこれまでの生活習慣を理解した環境調整も重要です。

例えば、椅子に座る動作を促す際、なじみの言葉を使うことで、次の動作に移りやすいきっかけを作ることができます。椅子に腰掛けましたよと言う声かけも良いですが。椅子に座らせ(栃木県佐野市の方言)と地元の言葉を用いることで、スムーズな動作になります。相手にとって馴染みのある言葉かどうかがポイントです。

事例27

なぜ、

自分の名前を、

漢字で書けなくなるのか。

文子さん、女性、77歳、要介護2、アルツハイマー型認知症、娘夫婦と3人暮らし筆まめだった母が、最近自分の名前すら漢字で書けなくなってしまってきて・・・・

これって、認知症が進んでしまったということでしょうか。このまま、もっと進んで何もわからなくなってしまうのではと心配で。・・・と娘さんが相談に見えました。

これまで娘さんは、母親のためにいろいろ調べて、漢字ドリルや写経などを進めてきたそうです。ところが、それもだんだん苦がってやらなくなってきたので、問診票などに名前を書くときには、本人に書いてもらうなどの工夫をしてきました。しかし、その文字が形にならなくなってきて、娘さんの不安は募るばかりです。

脳科学からの解説

意味記憶は最も高次な記憶

漢字の意味や、物事の名前など、辞書に載っている形で、意味を理解することはとても難しいことです。

実は意味記憶は、記憶の中でも、最も高次といっても良いものなんです。

海馬は、今、起こっている出来事をエピソードとして、頭に定着させるために必要な組織だとお話ししてきました。

意味記憶はそういうエピソード記憶をまとめ上げて作られたものです。

例えば、暖かいという意味の言葉は、母親が毛布で自分を包んでくれて暖かい?と聞いてきたり、冬に外に出たときに、今日は太陽が出ていて、暖かいねと話しかけてきたり、また何かが起きたときに、誰かが、あの人は心が暖かいよね。と言ったり、など、多くのエピソード記憶が頭の中に蓄積されて、徐々に暖かいってこういう意味なんだと理解されていったものです。

通常、母国語の意味は、海馬を通し、エピソードとして、大脳皮質に蓄えられた記憶の集積の中から、長い時間をかけて作られることになっています。

1つの言葉の奥に、いくつもの経験がされているものほど、つまり日常の中でよく使う単語ほど忘れにくい必要なものになっています。しかし、こういう名詞は、1つの言葉がいつも特定の人や場所を指すことになっているので、あまり頻繁に合わない人や、行かない場所だと、経験が少ないために忘れやすいのです。

いずれにしても、意味は最も高次な記憶なだけに、アルツハイマー型認知症が進み、大脳皮質の多くの領域で萎縮が始まると、どうしても意味を忘れてしまうことがあると考えられます。
アルツハイマー型認知症の方をトイレ介助する時に、言葉で伝わらない時には、非言語コミュニケーションの動作をすると良いでしょう。と言う事が書いてあります。
田澤 美雪&田中 深雪より



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