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今日は品川駅に寄ってから、ママのお墓参りに行ってきました!

なぜ認知症の人は家に帰りたがるのか?恩蔵 絢子&永島 徹 著 p289〜p309抜粋

なぜ認知症の人は家に帰りたがるのか?恩蔵 絢子&永島 徹 著 p289〜p309抜粋

今日は帰宅してから、鮭としめじのおにぎりをいただきました!!

2026年9月15日(火)曜日 

なぜ認知症の人は家に帰りたがるのか?

恩蔵絢子&永島徹著p289〜309

図19:記憶の編集のメカニズム

思い出すことで、記憶は現在に蘇り、現在の状況の干渉を受ける。それを再び海馬使ってしまい直す。

大昔の記憶は消えにくい。

もう一つ皆さんに質問です。昔の出来事と、数日前のような最近の出来事と、どちらの方がより多く思い出しますか?

最近の記憶の方、頻繁に思い出しているはずです。今日の出来事、今日友達に言われたことなどは、こんなことしなきゃよかったな、なんであの人は私にあんなことを言ったんだろうと、無意識のうちに何度も思い出し、考え続けているものです。

脳は、最近の出来事ほど何度も思い出し、編集を加え、多分あの人はこういう思いがあって、あんな風に私に言ったんだろうなどと、その出来事の意味を理解しようとするのです。

一方、大昔の記憶は、そのように頻繁に思い出す記憶の編集のプロセスは一通り得ています。

つまり、記憶は、川を転がっていく岩のようなものです。水源の近くで岩はゴツゴツしていますが、ごろごろ川の中を転がっているうちに角が取れて、やがて丸いピカピカの小さな石となります。記憶も同じで、最近の出来事はゴツゴツしていて意味がわからず、何度も脳は思い出してあぁでもないこうでもないと理解しようとするけれども、大昔の記憶は、ピカ

ピカの丸石のように、ある程度意味が固定した記憶になっています。出来事の本質だけは残って、あの体験は自分にとってこういう意味だったんだと、大体自分の中で落ち着いた形で大脳皮質にしまい込まれている。だからこそ、事例06でお話ししたように、大昔の記憶は消えにくいのです。

節子さんの頭の中でも、大昔の印象がとても強く残ってるんだと思われます。現在、節子さんには大人になって独立したお子さんがいるとの事ですが、節子さんのお子さんと妹さんは、親族だけに印象が似ているところがあるのでしょう。子供でも妹でも、節子さんにとっては面倒を見る相手だったのであり、長女さんが会いに来ると、どうしても自分の中に強く残っている、大昔に妹の面倒を見ていた記憶は蘇ってしまうのではないでしょうか。

また、アルツハイマー型認知の人にはこんなことも起こります。娘と道を歩いているときに、前から娘にいた髪型の女性が歩いてきたら、娘が横にいるのにもかかわらず、その人を娘と勘違いして、〇〇ちゃんと呼んでしまう。同じ位の歳の女性、似たような体つきの女性が、みんな娘に見えてしまう。

娘さんは、え?私、横にいるよ!?と驚いてしまうかもしれませんが、それは実は、どの人も娘さんに見えてしまうほど、娘さんが大事だと言う事を表しているのです。

すべての記憶は、時間の流れの中で変化して、なんとなく似たり寄ったりの形に変わるのかもしれません。経験のいろいろな角が取れる、すなわちいつどこで誰と何をしたと言う名、個別の情報が落ちて、おおまかな印象だけは残る。細かい事は思い出せないけれども、大事だったと言う事はわかる。

なんとなくある人を見ると、親しみを感じる。名前を思い出せないけれども、この人の事は知っているとわかる。

節子さんが、妹さんと長女さんと間違えることがあっても、節子さんにとって、2人がとても大事な、自分が面倒見るべき人であると感じられている事は、確かなのだと思います。名前が呼べなくなったとしても、ちゃんとした親しみを持っていることが、その人物がその人の人生の中で、どれだけ大事だったかを表しているのです。

記憶は編集されるのは、アルツハイマー型認知症の人の脳の中だけではなく、健康な人も同じです。

思い出すたびに、記憶が変化するこそ、同じ出来事を経験した夫婦間でも、時間が経つと、あの時こうだったじゃない!そうか?と言うような話の食い違いが出てきます。

脳は常に過去の出来事をどのように理解したら、未来のために使えるのか模索しています。

脳は、有限の容量しかないために、全部ではなく、未来に役立つ記憶を残そうとするし、未来に役立つように記憶を変えようとするのです。

脳が新しい経験によって、過去の意味を更新していくからこそ、私たちはうまく暮らしていくことができます。私たちがより暮らすために持っているのが記憶の編集のメカニズムなのです。だから記憶が変わってしまうことを恐れる必要はありません。

そして、アルツハイマー型認知症になっても、なお残っている記憶は、その人の人生の中でとても大事だったものなのです。

相貌失認

それ以外に、脳の中には、この顔は誰々の顔、と言うふうにアイデンティティーを判断する場所があります。側頭葉の下のほうに位置する防水状回

と呼ばれる場所です。(図20)

ここがうまく機能しなくなると、目の前にいる人の顔が、目、鼻、口があって、顔だとはわかるのに、誰の顔かがわからない、と言うことが起こることを知られています。その症状を相貌失認といいます。脳の中

に、こうして顔を専門に担当する部位があるのは、脳にとって、人間の顔がどれだけ大事かを表しています。

図20:側頭葉の下側にある紡錘状回

アルツハイマー型認知症が進行し、紡錘状回に萎縮が広がれば、相貌失認が起こる可能性はありますが、アルツハイマー型認知症よりも、前頭側頭型認症のように、側頭葉から最初に問題が起こりやすい認知症のほうが、出現しやすいと言われています。そして、何の原因で相帽失念が起こっても、顔の視覚的情報ではなく、声など別の情報で親しい人を特定する事は可能であり、例えば、家族に対する愛情などが消える事は無いのです。

アシストポイント、

人物がわからなくなったら・・・・

大切な人との思い出を話してもらえるように働きかけてみましょう。

ご本人の思い:

大切な人との記憶を大事にしたい。

息子は弟になったり、娘が妹になったりすると、間違えられた家族は驚きとショックで何言ってんの。娘よ!などと訂正したくなります。

目の前にいる人を別の人と混同してしまうのは、必ずしもその人のことがわからなくなっってしまったからではありません。

人物を混同している状況は、人生の中での大事な記憶と関係があるからなのです。

アシストポイントは、大切な人との思い出を話してもらえるように働きかけてみることです。

目の前の大切な人と一緒に記憶の中の大切な人の話を

することで、思いがけないようなご本人の思いを聞くことができるかもしれません。

事例23

なぜ、感情や雰囲気は伝わるのか。

君さん、女性83歳要介護2 アルツハイマー型認知症、長男と2人暮らし

同居の長男は、毎日早朝から夜8時過ぎまで仕事で家を開けており、キミさんは週2回、デイサービス以外は1人で自宅で過ごしています。

暑い時期にもエアコンを嫌がり、戸を締め切りにして過ごすので、熱中症で入院になってしまったことがあり、県外に住む次男も交えて話し合いが開かれました。

2人の息子に挟まれるように座った君さんは、久しぶりにそろった息子を前に、ありがとうね。大丈夫だよと繰り返していました。

ところが、いくら言っても、大丈夫の一点張りで言うことを聞かないことをきかない、今年の夏はもう家にはいられないんだろうと話す。長男と次男のやりとりに、うん、な〜に?何言ってるかわからないよ、と戸惑いながら、表情がどんどん険しくなっていきました。

脳科学からの解説。

会話は楽しい雰囲気の中で

きみさんは、息子さんが2人とも来ている状況を理解して、嬉しくてたまらない気持ちになったんでしょう。しかし、息子さんたちは、君さんが熱中症になるなど、1人で自分のことをできない現実があり、君さんのことを大丈夫ではないと思っているので、きみさんに大丈夫と言われて苛立っています。

心配だからこそ、夏にはもう家にいられないだろうと言うような、君さんにとって不安な内容を話しているんだと思います。家族などだから、ある程度本音は言っていいのです。

しかし、事例21でお話ししたように、アルツハイマー型認知症の人は注意をうまく受けられないことがあるので、注意力を高めるために本当に君さんにお伝えしたいことがある場合、まずはきみさんのうれしい気持ちを受け取って、楽しい雰囲気を作る必要があります。

対策としては、アルツハイマー型認知症の人に問題を伝えるためには、楽しい雰囲気の中で伝えるということです。

今はエアコンを入れておかないといけないよと言う言葉も、楽しい雰囲気の中で伝えたら、そうだねと納得してくれるかもしれません。

そして、様々なことを伝えやすくなったら、まだまだ同居することができるかもしれません。そして、もしも同居が難しい状態になっていると、息子さんが不安を抱えているのならば、まずはキミさんがデイサービスなどに行く時間を増やして、息子さんの不安を減らすことも大事です。

家族全員の不安や心配を減らして、会話がいつもネガティブになってしまわないようにするのです。

アルツハイマー型認知症の人は、周囲の人が次々に高速でやりとりする会話についていく事は、海馬の萎縮のせいで難しいところがあります。数秒前まで語られていた膨大な言葉を覚えておかなければ、会話についていくことはできないからです。

しかし、アルツハイマー型認知症の人は、相手の感情を読む事はとても得意です。完全に会話の内容が理解できなくても、言葉のトーン、相手の顔つきなどにはとても敏感で、何か自分についてネガティブな情報を言われていることが理解できるのです。

きみさんは、自分は嬉しいのに、相手は言っては苛立っている、と言う状況に戸惑いを深めてしまったのかもしれません。

感情が大きく動く記憶は忘れにくい

脳の仕組みから言うと、記憶の中枢である海馬と感情の中枢である扁桃体は、隣りあっています(図21)

だから、海馬と扁桃体とは密接に信号をやりとりしています。例えば、ある出来事があって、感情がたくさん動けば、扁桃体から海馬に多くの刺激を送られて、その出来ごとは記憶されやすくなります。プロポーズされた時、あるいは2011年3月11日の東日本大震災が発生した日などは、感情が大きく動いたので、わすれにくい記憶になっていることでしょう。それに対して、毎日何を食べたかなどは、よほどおしいものでも食べない限り、感情がそれほど動かないので、あまり思い出せない記憶になります。

海馬と扁桃体

記憶の中、海馬と、感情のつつ中枢扁桃体は隣り合っている。

これは海馬が少し萎縮したアルツハイマー型認知症の人でも同じで、感情がたくさん動くような経験をすると、海馬にたくさんの刺激が届くので

そのことは、他のことより記憶に残ることがあります。

海馬の活動が弱まると扁桃体の活動が高まる。

また、逆に、海馬から扁桃体へもいろいろな刺激を送られていて、例えば扁桃体が何かに対して恐怖感を感じて、これは危険かもしれない!と海馬に信号を送ると、海馬は扁桃体に今までの経験を参照して、前にも経験があったことならば、あ、これはそんなに興奮しなくても大丈夫な出来事みたいだよと言うように、扁桃体の活動を抑える信号を送ります。

それ以外にアルツハイマー型認知症で海馬が萎縮して、海馬からの信号があまり来なくなると、扁桃体は何に対しても過敏に反応してしまうことがあります。

何か起こった、これは不安だ!と扁桃体が訴えても、海馬から大丈夫だよと言う信号が来ないので、扁桃体をずっと活用したままになってしまいます

つまり、海馬の活動が弱まることで、扁桃体の活動が高まって、感情的に敏感になるとか、警戒心が強くなる、ということが起こるのです。

そのように感情的に敏感になると、周りにいる人が不安層にしていると、アルツハイマー型認知症の人も不安になってしまうと言う、感情電線も起こりやすくなると言われています。(図22)

図22:感情伝染

健康な人よりも、アルツハイマー型認知症の人の方が、他人の嫌な感情を感じ取る傾向があると科学的に示されている。周りの人がネガティブな感情を持っていると、アルツハイマー型の認知症の人もネガティブな感情になってしまう。

私は施設などに時々伺うと、アルツハイマー型の認知症の人は、職員がどんな気持ちを持っているかに敏感で、とてもよく人を見ている、と言われます。

これには、科学的な根拠はあるのです。だから、きみさんにも、息子さんたちの不安が伝わってしまうのだと思います。

私たちは皆、不安の中で正しい情報処理がしにくいものです。例えば、火事が起きてパニックになっていると、全く必要ないものを大事に抱いて家から飛び出してしまうことがあります。不安の中で正しい判断ができなくなって、何を言ってるのか、全くわからないよと君さんがおっしゃるのも最もなのです。

不安と言う感情は伝わってしまう。そして、不安の中よりも、楽しい雰囲気の中の方が言いたい内容は正確に行ったりしやすい、と言うことを覚えておきましょう。

アルツハイマー型認知症になると、減る能力ばかりではなく、高まる能力があって、それが感情と言うものなのです。

認知症の方は、楽しい時の方が不安にならないが、海馬の萎縮のせいで、分からなくなってしまうこともある様ですね。

田澤 美雪&田中 深雪

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