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今日は一日中ずっと大雨でしたね!

なぜ認知症の人は家に帰りたがるのか? 恩蔵絢子&永島 徹

なぜ認知症の人は家に帰りたがるのか? 恩蔵絢子&永島 徹

今日はほうれん草と長ネギのスープを4人分作ってみました!

2026年9月6日(日)曜日 なぜ認知症の人は家に帰りたがるのか?

恩蔵絢子&永島 徹 p99〜p121 

社交的で世話好きな幸子さんの様子に変化が見られたのは3年前です。買い物に行き、同じものをいつも買ってきたり、ゴミの日を間違えて近所から苦情が来るようになり、自信をなくした。幸子さんは掃除もしなくなり、自宅に引きこもるようになってしまいました。

3ヶ月に1度は自宅に戻り母の様子を見てきた。娘さんはそんな母の様子を心配して、訪問介護サービスでゴミ出しや室内の清掃をサポートしてもらうことにしました。

幸子さんがヘルパーの訪問を受け入れ、ほっとしていたものの、しばらくして、娘さんが様子を見に行くと、部屋が散らかっていることが多くなり、いつもどこを掃除してもらっているのと聞くと、自分でちゃんとやってるから余計なこと言わないでと怒り出してしまいました。娘さんはサービスがちゃんと提供されているのか疑うようになりました。

脳科学からの解説。

人間が最後まで持ち続けるものが自尊心。

認知症になっても、またそれ以外のどんな病気でも、人間が最後まで持ち続けるものがあります。それは自尊心です。自尊心とは自分で何かをやれるぞ、これは自分ではできるんだぞと、自分のことを誇らしく甘える気持ちのことを言います。

老人ホームの研究で、自尊心が守れることが幸福の鍵であると言う研究があります。

部屋のレイアウト、どんなふうにしたいか入居者に聞いて、その通りに職員が整える場合と自分でやる場合。

あるいは部屋にどんな植物を置きたいか聞いて、好み通りのものを用意し、毎日水やりを職員がする場合と自分で育てていく場合。

どちらの方が幸せだと皆さんは思いますか?

自分の好みの部屋になる。好きな植物を育てられると言うことでは、職員にやってもらった方が確実かもしれません。

それに自分では力が足りなくて、うまく家具を動かせずに、人に声をかけて手伝ってもらうことになるかもしれません。

植物への水やりも、アルツハイマー型認知症の場合、記憶の問題のせいで、時々忘れてしまうかもしれません。自分で何もかもが完璧にできるわけでは無いから、自分の好みのように暮らすには、もしかしたら職員に全てお願いした方が良いのかもしれません。

しかし、実際には、失敗しても不完全でも、自分でやる方が、入居者の幸福度が高く、活動度も高まることがわかったのです。

どんなに小さなことでも、自分で何かできると言う感覚があることが同じでその人を支え続けます。

施設の自分の部屋で、何度水をやり忘れても、小さな植物の面倒を自分で見られることで、その人は幸せを感じることができるし、生活に張り合いができてきます。幸子さんは、もともと世話好きで、人の面倒を見る側だったのですから、逆に人に面倒見られるようになる事は、自尊心を脅かすことなのかもしれません。病気をして、人に頼らないくてはいけなくなった事はわかっているけれども、今までの癖でうまく頼れない、そんなところがあるのだと思います。

コラム

老人ホームの入居者の自尊心研究

自分の部屋をその人の暮らしやすいように、職員が整える場合と、失敗しても良いから、その人が自分で管理できる場合では、後者の方が入所者の幸福感が高く、活動度も高くなる。小さな事でも自分でやれて、自分に自信が持てれば、人のアシストを受けられることができるようになるかもしれない

ご本人が自信を取り戻せるような関わり方のコツ。

幸子さんは、自信を失っているとの事。その対策としては、訪問介護サービスに入っていただくにしても、家のある一画だけは幸子さんに任せると言うように、自分で自由にやれる部分を作ることだと思います。

ここだけはあなたの勝手にして良いです。あなたが自由にできる自分の場所ですよと何かを任せることで、幸子さんが自信を持てれば、人のアシストも受け入れることができるようになるかもしれません。自信がないと言う時に、その助けが入る事は、自分に無能感を持ってしまうことかもしれず、自信をもっとなくしてしまうかもしれません。

しかし、人に任されることで、自分には力があるのだとわかると、これが自分にはあるのだから、他のところは他の人にお願いしようと思えて、人に甘えることができるようになるのです。

例えば、料理が得意だったけれども、作れなくなって、他の人が作ることになったのなら、お皿洗いを任せるのはどうでしょう。

料理を作るためには、いろいろな手順を覚えておく必要がありますが、お皿洗いならば、目の前の水に浸っているお皿の汚れを流せば良いだけです。

多少泡が残っていても、あるいは洗剤を使い忘れてしまっても、たいした問題では無いはずです。

掃除でも、その人の部屋だけは、どんなに汚れても、その人の好きにして良いと言うようにすると、その人に自分の居場所ができるでしょう。誰かが他の部屋の掃除をしてくれているときに、ではあなたは自分の部屋の掃除をお願いしますと言えば、その人に仕事ができるので、他の人に全てやられてしまうと言う感覚を持たずに済むでしょう。

どんなに小さなことでも、1つでも自分にはやれることがあると感じると、心が落ち着いてくるものです。

失敗しても良い、この部屋だけは汚くても良い、あなたが好きにやれる場所があるんだよと、ご本人も周囲の人も完璧を目指すことをやめることが幸せに生きていくためには大事なことなのかもしれません。認知症によって、人が変わる事はあるのか?

完璧な人が完璧でなくなる。幸子さんのように、できていないのに、できたとやはり、怒ってくる。そのようことがあると、つい私たちは

人が変わってしまったと考えます。

認知症に関しては、特にもう以前のあの人では無いのかも、これからどうしたらいいんだろうと、私たちは簡単に思い込むところがあります。

しかし、本当に印象によって人が変わることがあるのでしょうか。その問題をここで考えてみましょう。

脳科学や心理学では、人格を調べるために、BIG5と呼ばれる手法がよく用いられます(図7)BIG5というのは

開放性、誠実性、外向性、協調性、神経性的傾向の5つの指標のことで、この5つを用いれば、我々がある状況に置かれた時、どのような行動をとるかが大体予測出来ると言われています。

人格の指標(BIG5)

アルツハイマー認証と診断された人は、確かに少しだけ神経症的傾向が上がり、外の世界に興味を持ちにくくなり(開放性)一貫して物事をやれて受けることが難しく、(誠実性)、他人に対して積極的に関わったり(外向性)他人と協力して行動したり(協調性)することが減る傾向がある。

しかし、それには、海馬の萎縮のせいで、新しい物事が覚えにくくなって、失敗が増えて不安になるからである。不安を考慮すれば、このような変化は起こるのは十分に理解可能なことである。

開放性は、あなたがどのぐらい新しいものごとに興味を持ちやすいかと言う指標です。

外の世界に対する好奇心の強さといっても良いでしょう。あなたはどれくらい外に出ていくことが好きですか?

誠実性は、あなたがどれくらい1つの物事に興味を持ち続けるかです。

あなたは何か1つのことを最後までやり遂げることができますか?もし1つのことをやり始めたら、最後まで絶対に止めないと言うならば、誠実性がとても高い人と言う人と言うことになります。

外向性は、あなたがどれくらい他人に対して興味を持っているかです。多くの人に会いたいと思いますか?それとも1人でいたいですか?

協調性は、あなたがどのくらい他人と強調しても、物事を進めることができるかです。他人に興味があっても、強調して働けるかどうかは別の問題なので、外向性とは区別されています。

神経症的傾向は、あなたはどのくらいストレスに弱いかです。例えば新型コロナウィルスの流行と言うようなストレスにさらされると、全てを不安に感じ妄想的になってしまうでしょうか?それともどんなに不安の状況でも、何とかなるだろうと考え、行動する人でしょうか?

例えば、幸子さんならば、社交的で世話好きで、身の回りのことをきちんとされていたと言うことから、外構性や協調性、施術性の高い方だったんだろうと推測されます。そういう方がもしもマジで迷子を見つけたら、積極的に助けようとする。でしょう。ある人をある状況においたらどう行動するか、それがこのBIG5を用いてください、アルツハイマー型認知症と診断される前後で

人格はどのように変化するかという研究もなされています。その研究によると、信頼後は以前と比べて、心境的傾向が上がり、その他の指標は下がると言うことでした。幸子さんも家の片付けをやり遂げることができず、他人に介入されることを嫌がるようになったことから、以前よりも誠実性や外構性、協調性が下がってしまったと言えるのかもしれません。

認知症で人格が変わると言われると、怖いと言う気持ちが湧いてきてしまうかもしれません。しかし、なぜこのような変化がもたらせるのかと言えば、それは、まさに自信がなくなったことから来ています。

アルツハイマー型認知症になっても、自分で自分のことをやりたい、人のために役に立ちたいと言う自尊心は持ち続けます。

それなのに、生活の中で失敗が増え、他人の助けを借りざるを得なくなっている。他人から褒めてもらえることもほとんどなくなってしまう。依存心が残り続けるからこそ、自分の現状に不安や怒りを感じて、ときには絶望して、外に出たくなくなったり、人に会いたくなくなったりしているのです。

つまり、1つのことをやり続けると言う誠実性や、他者への関心を表す外構性が下がる原因は、海馬の萎縮のせいで失敗が増えるからに過ぎません。

得意なことで失敗するのは嫌だ、他人に私のことを認めて欲しいと言う気持ちが、幸子さんの場合、私は自分でちゃんとやっていると言う発信として表れているのです。これは、その人らしさは残っていると言うことではないでしょうか。

もともとの人が消えて、別人になってしまうのではなく、ものの認識を間違えて、いつもだったらしないことをしたり、自信がなくなって行動パターンが変わることがあるだけです。その人がもともと持っていた家族に対する愛情などが変わってしまうと言う事では無いのです。

実際にはできていないことを、できたと言い張ってしまったら・・・

まるごと応援する関わりを増やしていきましょう。

ご本人の思い、(自分で)できないと思われたくない。

実際にはできていないことをできた。自分でやったなどと言い張られてしまうと、つい何言ってんの。

自分でやっていないんじゃないと言いたくなってしまいます。しかし、ご本人は、できないと思われたくないと言う気持ちで頑張っているので、それを指摘することは逆効果です。しかも、こうしたことが続くと、日常で援助が必要なことも、関わりを拒むようになってしまうでしょう。

アシストポイントは、できなくなったことではなく、工夫が必要なことと捉え、その部分を応援する関わりを意識して増やしていくことです。

ご本人も本当はできなくなって困っているはずですから、応援するような関わりは受け入れやすいでしょう。

事例06

なぜ、何度もお米を炊いてしまうのか。

あきさん

以前は町内会の会員なども率先してやり、愛好的だった秋さんでしたが、認知症の診断を受けてから3年が経った頃から、他人と接することを嫌がり引きこもるようになりました。同じ頃、料理もできなくなってきたのに、お米だけは大量に炊いてしまうと言うことが続きました。長女の話では、あきさんの生家は、もともと建具屋さんで、多くの職人を雇っていたこともあり、いつでも食事ができるように準備しておく習慣があったそうです。とは言え、大量のお米を炊いてしまうので困っているとの事でした。

また、少しでも外に出る機会を作るためにデイサービスの利用を検討しているけれど、プライドが高くて通ってくれるかわからない・・・と言う悩みも伝えてくれました。

脳科学からの解説。

昔の出来事の記憶は残っている。

あきさんも、事例05の幸子さんと同様に、町内会の役員などをして、外交的な性格だったのに、他人と会うの嫌がるようになってしまったとのこと。

アルツハイマー型認知症では、外構性の変化をは本当によくあることなのです。

しかし、ここで注目したいのは、人生の中でずっとやってきたことが残っている、ということでした。秋さんは、昔ずっとやっていたお米をたくさん炊いて、他の人の面倒を見ると言うことを、職人さんたちがいなくなった今でもやっていらっしゃるようです。

自例01でお話ししたように、アルツハイマー型認知症では、新しい出来事は覚えにくくなりますが、実は大昔の出来事の記憶は比較的も無事であることが知られています。

アルツハイマー型認知症で、最初に萎縮は起こる海馬と言う組織について理解するためには欠かせない、HMサンと呼ばれる人物がいます。

HMさんは、子供の頃に頭を強くって、頭蓋骨にヒビが入ってしまいました。以来、てんかんが起こるようになり、思春期になる頃には、毎日のように意識を失うなどして、学校へも通えなくなくなりました。そのため、こんなに日常生活に支障があるならばと、てんかんの発生源となっている部位を

手術で切除することにしたのです。手術部位は海馬とその周辺組織でした。

1953年のことです。HMさんが切除するまで、海馬の役割はわかっていませんでした。

手術で海馬とその周辺組織を失ったHMさんは、手術後の出来事を一切記憶できなくなってしまいました。その日、誰とあったか何をしたか、事例01でご説明したような、宣言的記憶が作れなくなってしまったのです。

しかし、興味深いことにHMさんの昔の記憶は無事でした。

子供の頃に何があったか聞くと、親が語る内容とほぼ同様の正確なことを語ったのです。つまり、海馬は、新しい出来事を頭の中に定着させるために使われる組織ですが、記憶を蓄えておく組織ではなかったと言うことです。海馬を取り去っても昔の記憶は残っていると言う事は、海馬以外の組織(大脳皮質)が記憶の貯蔵庫になっているのです(図8)

利用者さんの自尊心とは自分で何かをやれるぞ、これは自分ではできるんだぞと、自分のことを誇らしく思える気持ちを大切にし、又、海馬の萎縮によって忘れてしまったことを手伝ってあげたいと思います。 田中深雪 


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