今日は、美那子ちゃんに春巻きをごちそうになって幸せでした!!
今日は、久しぶりに夏らしい一日でしたね!!
2026年9月14日(月)晴れなぜ認知症の人は家に帰りたがるのか?
恩蔵 絢子&永島 徹 P268〜p288抜粋
家族がポータブルトイレやリハビリパンツの利用についてどんなものが良いでしょうかとケアの専門職にアドバイスを求めると、専門職は介護用品にする情報の提供追急いでしまいます。けれど、ここでまず大切な事は、混乱してしまっているご本人と、不安で焦っているご家族の状況を理解することです。
アシストポイントは、誤認しやすいようなものがないか確認し、あれば片付けたり、ご本人の習慣に配慮して、トイレがわかりやすいように環境調整をすることです。同時に、専門職は家族の不安な思いを聞くことも重要です。家族の不安はご本人に伝わりやすく、家族の言動が刺激になって本人の困難を強めてしまうことがあるからです。
事例21
なぜ、
誰かとと話してるように独り言を言うのか。
幸恵さん、女性77歳、要介護2アルツハイマー型認知症一人暮らし
会社を経営する夫を支え、仕事と子育てに忙しく働いてきた雪絵さん。会社を娘夫婦につないでからは、夫と2人で旅行を楽しんでいました。
病気で夫が他界すると、特に出かける事はなくなったものの、友人との関わりを楽しんでいたそうです。
そんな雪絵さんが、友人との外出の予定を忘れてしまうことが増えてきました。孫の誕生祝いの約束も全く覚えていなかったり、誰もいないのに、まるで誰かと話してるように独り言を言ってることが度々見られるようになり、娘さんは不安を抱き始めました。
脳科学からの解説
独り言は、自分の経験を理解するための作業。
幸恵さんは誰もいないのに、まるで誰かと話している様子があるとの事。会話に関して脳の働きから説明して、幸恵さんがどういう気持ちを持っているのか見てみましょう。
アルツハイマー型認知症の人は、少なくとも初期のうちは、短期記憶は無事なことが多く、誰かに話しかけられたら、その人が言っていることをその場ではきちんと理解することができます。今日は〇〇さんに会ってきたのよと言うような、数秒間で終わる文章を聞いてそうなんだねと適切に言葉を返すことはできます。
しかし、海馬の萎縮のせいで、その場で理解はしていても、それが長い間続く記憶に変換されず、少し時間が経つと言われたことが脳の中から消えてしまうことがあって、会話が次第に噛み合わなくなります。
会話が噛み合わない、すなわち、コミュニケーションの不成立は、ご本人にとっても周りの人にとっても辛いことです。
聞いたことにぴったりの返事をしてくれないと感じると、徐々に周りの人が話しかけなくなることがあり、距離ができてしまいます。
家族や友達が自分のところに来てくれなかったり、話しかけてくれないくなると、ご本人は自分の言いたいこと、自分の世界の感じ方、理解について、誰にも語れなくなってしまいます。
私たちは、自分が経験したことについて、こういうことがあったと、他人に話し、他人から意見を聞くことで、その経験を理解しようとします。
アルツハイマー型認知症の人は、他人が聞いてくれない時に、自分で自分に繰り返し語って、自分の経験を理解しようとしているのかもしれません。
子供の発達を見ると、大体7歳位で、言語のシステムが一応完成すると考えられています。赤ちゃんは、言葉にならない様々な音を発する段階があって、それからママ、パパなどと大人にも意味の通じる単語を発するようになり、その後盛んなおしゃべりが始まります。
それから見たもの、聞いたもの、全て口に出して確認するような、独り言を言う段階を迎え、最後にも何も外に言葉として出さずとも、頭の中だけで
自由に言葉の概念を操作できる段階に入ります。それが7歳位と言われています。言葉を外に出さないで、1人で頭の中で言語的に考えるようになるのです。(図18)
図18:脳の主な言語領域
脳の主な言語領域として、耳で聞いたり、目で見たり言葉を理解するために必要な、脳の後ろ側に位置するウェルニッケ野と、自分で言葉を発するために必要な、脳の前側にするブローカ野がある。この2つの療育をつなぐような繊維の発達が、子供の言語発達には重要で、大体7歳位で完成する。
この完成と同時に、独り言の頻度が減り、言葉の概念を自分の家だけで操作することができるようになると言われている。
これとは逆に、加齢して、認知症によって脳に萎縮が起こり、病気の進行に伴って、この言語のシステムがうまく働くなくなると、言葉を自分の違うだけに留めておくことができない状態となって、外に出してしまうことがあるのかもしれません。
しかし、そもそも独り言を言うのは、自分の経験を理解しようとしているからです。
人とつながりたい、人に話したい、人から話しかけられたい、言葉にして世界を理解したい、と言う欲求は、人間である以上持ち続けるものなのかもしれません。
むしろ、日常で、能力に以前より衰えたところがあるならば、健康だった頃よりも、他者の必要性は高まっているのではないでしょうか。
人が話しかけてくれないから、また、自分からうまく話ができないから、例えば、テレビと会話をしたり、人形に話しかけたり、鏡に向かって話するようなことが出てきます。話をしたい、気持ちはわかってほしいと言う思いがあって、伝わらない話でもするようになるのです。
少なくとも、テレビ番組の中の人物に話しかけているような場合、その人は他のしゃべっていることから、何かを拾って、答えようとしている、と言うことができます。例えば、番組の内容から外れたことであっても、その人が何かに興味を持って、情報そこから拾い取って、それに対して、答えているわけです。これは、完全では無いながら、認知的な注意力を働かせている、ということですし、人とつながりたいと言う欲求が消えないものであることを示しています。
業務連絡ではない、日常会話を心掛ける
対策ですが、家族内でどんな言葉を使っているか、見直してみてください。
実は家族の中では、必要以外の言葉を使わなくなっている可能性があります。
これ食べて、薬飲んで、出かけるから靴を履いて、歯磨きをして。
そういった業務連絡のような言葉については、アルツハイマー型認知症の人は失敗することが多く、自信を失う原因にしかならないことがあります。だから、必要以外の言葉を使うようにしてみてください。
庭に黄色い花が咲いていたら、この花は綺麗だね、この色は何色などと雪絵さんに話しかけてみるのです
きれいだねと言う声かけは、正解は無いから、プレッシャーはありません。
そうだねと感情を共有する言葉が返ってくるかもしれません。また、雪絵さんがもしも何色と言う人に答えられないとしても、この色は赤かな?
と話しかけると、赤じゃないねなどと答えてくれることがあります。
色が赤いか、黄色いなどは、生活の必要性とは全くかけ離れた会話です。しかし、そのような不必要な会話をすることによって、例えば赤じゃないのか。じゃあ黄色かな?と聞くと、そうだねと言う調子で、自分からは言えないながら、この花が赤じゃなくて黄色であることをその人が理解していることがわかりその人の中にカラフルな面世界が広がっている事は確かめられます。
そして、自分が綺麗だと思っていること、黄色を感じていることなど、自分の世界の感じ方が他人に伝わることで、アルツハイマー型認知症の人も、
気持ちが共有できた、コミニケーションできた、と安心して、笑顔が増えてくるはずです。必要な言葉以外の言葉を使うと、その人の気持ちが見えてきて、コミニケーションになるのです。
コミュニケーションの基本は楽しい気持ちを作る。
ただし、必要以外の話をしようと心がけて、話しかけてみたとしても、話しかけた言葉が、アルツハイマー型認知症の注意の問題で、届きやすい時と届きにくい時があるかもしれません。その時には2つの対策はあります。
1つは、生身の人間が目の前にいると、注意が向きやすくなります。例えば、子供はテレビやパソコン越しに言語を習うのと、目の前にいる人から習うのとでは、脳の刺激になりやすさが違っていて、後者の方が効果が高いと言う研究があります。
パソコンも越しでなく、実際に目の前にいる人に話しかけられると、相手の本気が伝わって、聞こうと言う気持ちがより湧いてくるのです。
もう一つは楽しい気分になる質問を考えることです。一度面白くて笑うと、その後に何を言われても面白くなる、と言う体験をした事はないですか?
脳は嬉しいことがあると、深部からドーパミンと言う神経伝達物質を放出します。そうすると、脳全体の活性度が上がります。
楽しい気分になっていると、相手が話しかけていることに、いつもより注意が届くようになることがあるのです。相手が言ってる内容から、より多くのことを拾えるようになります。
そして、ドーパミンは、強化学習を引き起こします。うれしいことがあると、ドーパミンが放出される。すると、その嬉しかったことを再び体験したくなると言うのが、強化学習です。つまり、誰かが自分にうれしいことを言ってくれたら、ドーパミンが出る、すると、その人にもっと会いたくなると言うことが起きます。面白さがもっと面白さを呼び込み、好きさがもっと好きを呼びこぶのです。
コミニケーションの本質は、相手にしっかり向き合って、楽しい気持ちを作るところです。1日のうちに短い時間でもそれができれば、お互いのことをずっと好きでいられるのではないでしょうか。業務連絡ではなく、一緒に遊ぶことを大事にしてみてください。
アシストポイント
誰もいないのに、誰かと話すように独り言を言っていたら・・・
ご本人が、楽しくなるような会話を、意識してみましょう。
ご本人の思い:
楽しい会話がしたい
誰もいないのに、あるで、誰かと話をしているように独り言を言っている姿を見たら、1人で何を言ってるんだろうと心配になります。
少し大切な事は、楽しい会話がしたいと言う。ご本人の思いに目を向けること。
独り言の意味が、楽しく話がしたいと言うご本人からのメッセージだと気づいたら、声かけの仕方も変わり、笑いがこぼれるような会話に広げていけるかもしれません。
事例22
なぜ?
人物が
わからなくなるのか。
節子さん、女性、79歳、要介護2、アルツハイマー型認知症、夫婦2人暮らし
もともと社交的な節子さんは、70歳まで大企業の食堂で調理師として働き、多くの社員の胃袋を満たしてきました。当時は食堂のおばちゃんと言われて慕われていたそうです。そのような節子さんでしたが、老いとともに心身状態が変化し、アルツハイマー型認知症に発症しました。寄り添う夫も、年なりの変化が顕著になっていました。この様子を心配した近隣に住む長女が、ほぼ毎日訪れて買い物や通院等のサポートをしています。
ある夕刻、いつものように長女が買い物をして訪問すると、長女を見るなり、夫を呼び、お父さん、妹が来たよと話し出したんです。長女はびっくりして私だよ。何を言ってるのと訂正しましたが、その後も時折、長女を妹と呼んで世話を焼こうとする様子が見られてきました。
長女は戸惑ってしまい、母親の日常が進んでしまったと不安が増してしまいました
脳科学からの解説
記憶が編集される仕組み
アルツハイマー型認知症では、誰かと誰かを混同することが時々あります。
なぜそのようなことが起こるのか、人間の記憶が編集される仕組みから説明してみましょう。
今、皆さんが思い出せる1番古い記憶はなんですか?
私の思い出せる限りで1番古い記憶は、幼稚園の時です。
幼稚園の広場に、シロツメクサがたくさん咲いていて、見守って、待ってくれていたはずの母がいなくなっていました。
おそらく、幼稚園の先生と話をして、教室などににたまたま入ってしまっていたのだと思いますが、広場のどこにも母が見当たらなかったショックを覚えています。
このように、昔の記憶を引っ張り出すと、あの場所でこんなことがあったなぁと、その記憶は現在に蘇ります。
私は今、記憶の編集のメカニズムを皆さんに説明するために、この記憶を思い出して、喫茶店の机でワードファイルに書き留めました。
そうすると、過去のその母のいないシロツメクサが咲いている広場の記憶に、今回の喫茶店でこのことを原稿に書いている
と言う現在の状況がインクされて、会話を使って、再び長記憶として脳の中にしまい直されることになります。思い出すたびに、実は記憶化して、新しい情報が加わって、変更されることになるのです。
例えば、数年前のあることを思い出して、友達に話す。それを聞いて、友達が今何か言ったとしましょう。その言葉によって、あなたはあの出来事ってそうか。そういう見方もできるものなのか。と新しい発見をするでしょう。そして現在の友達の言葉によって、過去の記憶の意味が少し変わることを皆さんも経験していると思います。現在の友達の言葉が過去の出来事にリンクされて、もともとの記憶は形を変えて、再び脳の中にしまい込まれてのです。
記憶は私たちが思い出すたび、また、人に語るたびに、少しずつ現在の情報を取り込んで、変化していきます。
事例図01の図2で、脳の中では海馬を使って、現在の出来事を長期記憶として固定化しているとお話ししました。その長期記憶を、私たちは現在に引っ張り出すと、脳は現在の情報を取り込んで、再び海馬を使って脳の中に最固定化します。(図19)このサイクルをぐるぐる回すのが、記憶の編集のメカニズムです。
アルツハイマー型認知症の人は海馬の萎縮でコミュニケーションが取れない事もあるので、助けて上げて下さい。
田澤 美雪&田中 深雪より
